『なぜ倒産 運命の分かれ道』に学ぶ|会社を倒産させない3つの鉄則【税理士解説】

きし

こんにちは。栃木・宇都宮のマロニエ会計事務所です。

信用調査会社の帝国データバンクさんの「なぜ倒産 運命の分かれ道」という書籍を読みました。

こちらは、実際に倒産した企業の倒産に至るまでの流れや要因をまとめた書籍になります。

私も税理士として日々多くの経営者の方とお話させていただきますが、「うちは倒産しないよね?」、「倒産しないためにはどんなお金の管理をしていけばよいのか?」といったことをご質問いただく機会が多いです。

この本を読んで、会社を倒産させないために私が重要だなと感じたポイントを本記事で記載していきたいと思います。

目次

【鉄則1】会社と個人のお金を混同しないこと

きし

書籍の倒産事例では、社長個人の会社資金の使い込みが倒産の要因となっている事例が多いように感じました。

会社の売上や利益を社長個人のプライベートの費用に使い込んでしまい、借入金の返済資金が会社から流出してしまうケースです。

中小、同族会社では会社と社長個人は一心同体のようなものであり、ついつい会社の預金口座から社長個人のプライベートの費用を支出してしまうといったケースも多く見受けますが、そのようなことを繰り返していると、税務調査でも論点になりますし、借り入れの返済原資もなくなってしまいます。

また、毎期、安定的に利益を計上していたり、純資産が厚い会社さんの決算書を見ていると、やはり会社と社長個人のお金の管理はきっちり分けられていますし、プライベートとの境界線があいまいなグレーゾーンの費用も計上されていない傾向にあります。

「会社で稼いだお金は設備投資や従業員などの会社のために使う。」「プライベートで何か支出があるなら、役員報酬としてきっちり給与として支給してそこから支払う。」といった当たり前の事を続けるだけでも、会社の業績や資金繰りは安定するのではないかと思います。

【鉄則2】自社の決算書に真摯に向き合うこと

資金繰りや業績が悪くなると、粉飾した決算書を銀行に提出しているという事例も多かったです。

業績が悪くなると金融機関からの印象も悪くなり、新規の融資が引き出せなくなったり、融資条件が悪くなってしまう可能性があります。

そのため、業績が悪くなると粉飾決算に手を染めてしまう企業がいます。

書籍の事例では、架空の売掛金を計上したり、借入金と売掛金を相殺したり、債務を計上しないで簿外にするなど、やりたい放題です。こうなってしまうと、誰も会社の真の経営状況が分からなくなってしまいます。

さすがに上記の事例はやりすぎですが、例えば、利益が計上されない期に、減価償却費をあえて計上しないといったことを行っている企業も多いのではないでしょうか。

減価償却の未計上は、税務上は実務上容認されているような感じですし、金融機関側も減価償却の未実施額は査定上はマイナス評価しているので、粉飾とまでは言えないかもしれませんが、真の経営状態が見えなくなってしまうというデメリットはあります。

減価償却費を計上して赤字になってしまうということは、設備投資分の利益が稼げていないということであり、実質は赤字経営ということです。

減価償却を行わなければ見た目上は決算書が黒字になるかもしれませんが、本質は赤字です。
経営上は早急に改善策を打ち出さなければならない状況ですが、決算書の見た目は黒字になってしまっているのでそれに甘えてしまい、会社経営の判断が遅れてしまうことになります。

自社の決算書は常にあるべきかたちで作成して、その結果に真摯に向き合っていれば、会社の危機も早い段階で察知することができます。

【鉄則3】多額の投資判断は慎重に

事業規模を拡大していく中で、その事業が低調になってしまい、拡大中に借り入れた多額の負債が返済できなくなってしまったという事例も多いです。

経営において投資は避けて通れません。
一方で、リスクのない投資というのはなく、必ず投資には一定のリスクを伴います。このリスクが顕在化した時の影響が大きすぎる投資は、会社を破滅に導いてしまう可能性があります。

きし

自社の状況からみてリスク発生時の損失額が大きすぎる投資は、投資ではなく「投機(ギャンブル)」だと考えています。

リスクが顕在化してしまった時に会社を倒産させないためには、会社に内部留保を貯めておくことが重要です。毎期、着実に利益を出して、税金も払い、会社にお金(内部留保)を残しておけば、もし投資に失敗したとしても、その内部留保で会社を存続させることができます。

余談ですが、会社にお金を貯めるためには、会社の損益計算書で利益を出すしか方法はありません。
そして、利益を出すということは、法人税を支払うということです。

もちろん、無駄な税金は支払う必要はないのですが、法人税をある程度支払わないと、会社にお金が貯まらない仕組みになっています。
税金を抑えて、会社にお金も残す、というのは基本的に両立しません。法人税を支払って、会社にお金を残していきたいところです。

まとめ

書籍を読んで、会社を倒産させないために私が重要だなと感じたポイントをまとめました。

当たり前のことしか書いていないようにも思われますが、日々の業務の中で多くの事業や決算書などを見ていると、この当たり前のことが出来ている会社は非常に少ないと感じています。

自社を安定して継続させていくためにも、他社の倒産事例を教訓として学んでいきたいところです。

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