自計化で経営を効率化!クラウド会計との違いは?税理士が教える実践ガイド

きし

こんにちは。自計化やクラウド会計導入実績が豊富な栃木・宇都宮のマロニエ会計事務所です。

「経理業務に時間がかかりすぎる」
「経営状況をもっとリアルタイムで把握したい」
「税理士との連携を効率化したい」
――こうした声を、中小企業の経営者様から日々お聞きします。

特に昨今のデジタル化の波の中で、経理業務の効率化は避けて通れない課題となっています。

私は税理士として多くの企業様の経理業務改善をサポートしてきましたが、その経験から「自計化」こそが、これらの課題を解決する重要なカギだと確信しています。

クラウド会計の普及により、専門知識が少なくても自社で正確な経理処理が可能になってきた今、自計化に踏み切るチャンスと言えるでしょう。

この記事では、自計化による経営効率化の実現方法について、実務経験に基づいた具体的なアドバイスを提供していきます。特に、クラウド会計との連携による相乗効果や、導入時の注意点について詳しく解説します。

目次

自計化とは?経理業務の効率化を図る仕組みを解説

自計化で業務効率を図るイメージ

経理業務の効率化というと、まずクラウド会計の導入を検討される企業様が多いのですが、実は「自計化」という考え方を理解することが、真の業務改革への第一歩となります。

自計化とは、企業が自社で会計処理を行う仕組みのことですが、単なる作業の内製化ではありません。

経営のスピードと質を高める重要な経営改革と捉えるべきです。

自計化の定義と基本的な仕組み

自計化は、日々の取引を自社で正確に記録し、タイムリーに経営状況を把握できる体制を整えることを意味します。

特に重要なのは、入力作業の効率化と正確性の担保であり、これらはクラウド会計ソフトの導入で大きく改善できます。

きし

クラウド会計ソフトの具体的な選び方と活用のポイントについてはこちらで詳しく解説しています。

自計化の基本的な流れには以下のようなものがあります:

  • データの入力と管理
    • 請求書や領収書のデータ化
    • 銀行取引の自動取込
    • 経費精算のデジタル化
  • 会計処理の自動化
    • AIによる仕訳の自動化
    • 帳簿の自動作成
    • 決算準備の効率化

これらの仕組みにより、経理担当者の作業負担を大幅に軽減しながら、より正確な会計処理が可能になります。

自計化が注目される背景と経営課題

自計化で経営状況をリアルタイムで把握する経営者のイメージ

私がお客様からご相談を受ける際、多くの企業様が人手不足や業務効率化の課題を抱えていらっしゃいます。

特に深刻なのは、経理担当者の採用難と作業時間の増大です。

また、市場環境の変化が激しい昨今では、リアルタイムでの経営判断がより重要になってきています。

自計化が注目される主な理由として、以下のような経営課題が挙げられます。

  • 経営環境の変化への対応
    • 人手不足の深刻化
    • デジタル化の加速
    • 働き方改革への対応
  • 経営判断の質の向上
    • リアルタイム経営の実現
    • データに基づく意思決定
    • 予実管理の精緻化

これらの課題に対して、クラウド会計と組み合わせた自計化は効果的なソリューションとなります。実際の導入効果と成功事例についてはこちらでご紹介しています。

自計化を支える技術とソリューション

自計化のソリューションのイメージ

自計化の実現を後押しする技術は、ここ数年で飛躍的な進化を遂げています。

その中核となっているのが、AIによる自動仕訳機能です。

請求書や領収書をスマートフォンで撮影するだけで、内容を自動で読み取り、適切な勘定科目に振り分けてくれます。

さらに、取引パターンを学習することで、精度は日々向上していきます。

最新の自計化を支える主要な技術要素には以下のようなものがあります。

  • データ処理の自動化技術
    • AI OCRによる文書読み取り
    • 機械学習による仕訳提案
    • クラウドベースの自動バックアップ
  • 業務効率化のための連携機能
    • 金融機関との自動データ連携
    • 電子帳簿保存法対応機能
    • マルチデバイス対応

このように、技術の進歩により、専門的な知識がなくても高度な経理処理が可能になってきています。

自計化を導入するメリットと留意点

自計化の導入は、単なる経理業務の効率化にとどまらず、経営全体の質を高める効果があります。

クラウド会計導入の基本的なメリットはこちらで詳しく解説していますが、ここでは自計化特有のメリットについてお伝えします。

メリット:リアルタイムで経営状況を把握する力

自計化でリアルタイムで経営状況を把握しているイメージ

自計化の最大のメリットは、経営状況をリアルタイムで把握できることです。

税理士に記帳代行を依頼する場合には、税理士に帳簿資料を渡し、入力の完了を待たなければ正確な財務状況が分からず、経営判断が後手に回りがちでした。

しかし、自計化により日次での収支把握が可能になることで、より機動的な意思決定が可能になります。

きし

例えば、ある製造業のお客様は、自計化導入後、資金繰りの精度が大きく向上しました。

日々の入出金状況を即座に確認できるようになったことで、運転資金の調達時期を最適化でき、金融費用の削減にも成功しています。

また、経理業務の効率化も見逃せないメリットです。

入力作業時間が大幅に削減されるだけでなく、転記ミスなどのヒューマンエラーも防止できます。

決算準備の効率化により、経理部門の生産性も向上し、より付加価値の高い業務に時間を振り向けられるようになります。

主な効果は以下の通りです。

  • 経営判断の迅速化
    • 日次での正確な収支把握
    • タイムリーな資金繰り管理
    • 予実管理の精度向上
  • 業務効率の大幅な改善
    • 入力作業の自動化による時間削減
    • 人的ミスの防止
    • 決算業務の効率化

このように、自計化は経営の質的向上と業務効率化の両面で大きな効果をもたらします。

導入前に考慮すべきデメリットとリスク

自計化で一時的に業務が増えたイメージ

一方で、自計化の導入には慎重に検討すべき課題もあります。

最も注意が必要なのは、導入初期の業務負担増加です。システムの導入時には一時的に業務量が増えることは避けられません。

また、従業員の教育や新しい運用ルールの整備にも時間を要します。

考慮すべき主なリスクとして、以下のようなものがあります。

  • 導入・運用に関するリスク
    • 初期コストの発生
    • 従業員の教育負担
    • 業務フローの見直し
  • データセキュリティ面のリスク
    • 情報漏洩対策
    • アクセス権限の管理
    • バックアップ体制の整備

ただし、これらの課題は入念な事前準備により、十分に対応可能です。

税務申告時の効率的な運用方法についてはこちらで詳しく解説しています。

自計化とクラウド会計の関係性を徹底解説

自計化を成功させる上で、クラウド会計の活用は欠かせない要素となっています。

しかし、ただクラウド会計を導入すれば自動的に自計化が実現できるわけではありません。

両者の関係性を正しく理解し、効果的に組み合わせることが重要です。

クラウド会計が自計化を支援する理由

クラウド会計が自計化を支援する理由のイメージ

クラウド会計は、自計化に必要な機能を包括的に提供してくれます。

特に重要なのが、リアルタイムでのデータ連携です。

従来の会計ソフトでは、データの更新や共有に時間がかかり、タイムリーな経営判断の妨げとなっていました。

クラウド会計による自計化支援の主な特徴として、以下が挙げられます。

  • データ処理の自動化
    • 銀行取引の自動取込
    • 領収書のAI読み取り
    • 仕訳の自動提案
  • リアルタイム性の確保
    • 即時データ更新
    • 複数拠点での同時利用
    • モバイル端末からのアクセス

このように、クラウド会計は効率的な自計化に必要な基盤を提供してくれるのです。

自計化とクラウド会計の導入手順の違い

多くの企業様が、クラウド会計の導入イコール自計化と考えがちですが、実際にはそれぞれ異なるアプローチが必要です。

クラウド会計の導入は技術的な実装が中心となりますが、自計化は業務プロセス全体の見直しを伴います。

たとえば、私がサポートした小売業のお客様では、まずクラウド会計を導入し、基本的な経理処理の電子化を実現。

その後、段階的に自計化を進め、最終的には月次決算を社内で完結できる体制を整えました。

このような段階的なアプローチの具体例として、以下のようなステップが有効です。

  • 第1段階:クラウド会計の導入
    • システムの選定と導入
    • 基本機能の習得
    • 日常的な入力業務の電子化
  • 第2段階:自計化への移行
    • 業務フローの見直し
    • 担当者の育成
    • 月次決算体制の構築

このような段階的なアプローチにより、従業員の負担を最小限に抑えながら、確実な移行を実現することができます。

特に重要なのは、各段階で十分な検証を行い、問題が発生した場合には早期に対応策を講じることです。

私の経験上、急いで全ての業務を一度に変更しようとすると、かえって混乱を招くケースが多く見られます。

きし

時間をかけてでも着実に進めることで、結果的には短期間での完全移行よりも良い結果が得られることが多いのです。

自計化とクラウド会計のシナジー効果を最大化する方法

自計化とクラウド会計のシナジー効果のイメージ

自計化とクラウド会計を効果的に組み合わせることで、単独導入以上の効果を得ることができます。

特に注目すべきは、クラウド会計により自計化業務を効率化すれば、効率化した時間を管理会計やデータ分析に充てることができるようになることです。

例えば、製造業のあるお客様では、クラウド会計のデータを基に、製品別の収益性分析や、取引先ごとの採算管理を実現。自社で会計処理を行うことで、よりきめ細かな経営分析が可能になりました。

シナジー効果を最大化するためのポイントとして、以下が挙げられます。

  • データ活用の高度化
    • 管理会計への展開
    • 経営分析の充実
    • 予算管理の精緻化
  • 業務効率の最適化
    • 部門間連携の強化
    • 承認フローの電子化
    • 決算業務の効率化

このように、自計化とクラウド会計の組み合わせは、単なる業務効率化にとどまらず、経営管理の質的向上をもたらします。

特に中小企業は、経理担当者が総務や現場も兼任しているケースがあり、経理に割くことができるリソースが限られています。

この限られたリソースの中で最大限の効果を得られる点が自計化とクラウド会計を組み合わせる大きなメリットと言えるでしょう。

導入を検討される際は、まず自社の課題を明確にし、それに対してどのような効果を期待するのか、具体的なゴールを設定することをお勧めします。その上で、段階的な導入計画を立て、確実に実行していくことが、成功への近道となります。

自計化の導入で経営改善を成功させるためのカギ

自計化の成功には、単なるシステム導入以上の取り組みが必要です。

私の経験上、成功のカギを握るのは、現状の業務フローの見直しと、それを支える人材の育成です。

とりわけ重要なのが、経理に導入を丸投げするのではなく、全社的な取り組みとして位置づけ、経営者自身が積極的に関与することです。

現状の業務フローの見直しが成功のポイント

業務フローの見直しでまず重要なのは、現状の課題を正確に把握することです。

「なぜその作業が必要なのか」「誰がいつどのように処理しているか」といった点を丁寧に洗い出していきます。

例えば、ある卸売業のお客様では、業務フローの可視化により、同じデータを複数の部署で重複して入力している実態が判明。

業務フローの見直しにより、作業時間を40%削減することができました。効

率化のポイントとして、以下のような項目が挙げられます。

  • 業務の可視化と分析
    • 作業手順の文書化
    • 重複業務の特定
    • ボトルネックの把握
  • 改善施策の検討
    • 自動化可能な業務の選定
    • 承認フローの見直し
    • システム連携の強化

このような業務フローの見直しは、単なる効率化だけでなく、業務品質の向上にもつながります。

特に、ヒューマンエラーが起きやすいポイントを特定し、システムによるチェック機能を強化することで、より正確な経理処理が可能になります。

自計化を進める上で重要な人材育成と教育

自計化を進めるうえで重要な人材育成と教育のイメージ

システムを導入しても、それを使いこなす人材がいなければ効果は限定的です。

実は、自計化の成否を分けるのは、システムの選択よりも、人材育成の質にあると言っても過言ではありません。

私がサポートした企業では、以下のような段階的な教育プログラムが効果的でした。

  • 基礎知識の習得
    • 簿記の基本概念
    • 仕訳のルール
    • 勘定科目の理解
  • 実務スキルの向上
    • システム操作研修
    • 実例を用いた演習
    • エラー対処方法

特に重要なのは、単なる操作研修ではなく、会計の基本的な考え方を理解してもらうことです。

なぜその処理が必要なのか、どのような意味があるのかを理解することで、より正確で効率的な業務が可能になります。

また、教育は一度限りではなく、継続的な取り組みとして実施することが重要です。

定期的なフォローアップ研修や、実務での疑問点を解消する勉強会なども効果的です。このような地道な取り組みが、最終的には大きな成果につながっていきます。

きし

定期的なフォローアップも含めたサポートも、マロニエ会計事務所へお気軽にご相談ください。

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専門家(税理士・会計士)との協力体制の構築

自計化を進めると言っても、すべてを自社で完結させる必要はありません。

むしろ、専門家との適切な役割分担を構築することで、より効果的な経営改善が可能になります。

ここでは、私が実際にクライアント企業と築いてきた協力体制についてご紹介します。

日常の取引入力と仕訳は自社で行い、月次決算のチェックや税務申告は税理士が担当するという形が一般的です。

この際、クラウド会計を介したデータ共有により、スムーズな連携が可能になります。

例えば、サービス業のあるお客様では、仕訳1つ1つに証憑をアップロードいただいているため、会計事務所側でタイムリーに仕訳内容の検討やチェックを行うことができています。

効果的な連携のポイントとして、以下のような項目があります。

  • 役割分担の明確化
    • 自社対応の範囲
    • 専門家支援の範囲
    • チェックポイントの設定
  • コミュニケーション体制
    • 定期的な打ち合わせ
    • 質問・相談の仕組み
    • 連絡方法の設定(LINE、Slack、Chatworkなど)

このような協力体制により、自社の経理能力の向上と、専門家のノウハウを最大限に活用することが可能になります。

特に税務や会計基準の変更などに対しても、迅速かつ適切な対応が可能になるのです。

中小企業における自計化の成功事例を紹介

自計化を導入した成功事例のイメージ

ここからは、具体的な成功事例をご紹介します。業種や規模は異なっても、自計化による効果は確実に表れています。

それぞれの事例から、皆様の企業に活かせるポイントを見出していただければと思います。

卸売業における採算管理と経理業務の効率化

従業員20名規模の卸売業A社では、商品別の採算管理に課題を抱えていました。

常に変動する市況にあわせて、商品別に営業戦略を立案しないといけないのですが、会計ソフトへの入力を税理士事務所に依頼していたため、財務数値が把握できるのが早くても2か月後になってしまっていたのです。

自計化とクラウド会計の導入により、自社で会計ソフトへの入力を内製化することに成功。

複雑な仕訳については税理士がチェックを行っていますが、売上と売上原価の入力は自社内でほぼ完璧にこなせるようになり、翌月15日までには、最新の製品別の粗利を確認できるようになりました。

具体的な改善効果として、以下のような項目が挙げられます。

  • 業務プロセスの改善
    • 経理の工数50%削減
    • 月次決算期間の半減
    • 採算管理の効率化
  • 経営管理の質的向上
    • 早期の商品別の粗利の把握
    • 適正な販売戦略の実現

特筆すべきは、これらの改善が商品別の採算把握の早期化をもたらしただけではなく、営業担当別や輸出先国別など、より深度のある経営分析にもつながった点です。

自計化により自社の数値について経営者と経理担当者が興味を持ち始めた結果、様々な角度から自社の経営分析を行うようになりました。

サービス業での売上データの即時把握

複数店舗を展開するサービス業B社では、売上データの集計に時間がかかり、タイムリーな経営判断ができないことが課題でした。

各店舗からの売上報告は翌日以降にまとめて処理されており、日々の経営判断に必要なデータがリアルタイムで把握できていなかったのです。

自計化の導入により、各店舗の売上データがリアルタイムで本社に集約され、即座に経営状況を把握できるようになりました。

特筆すべきは、データ入力の手間をほとんどかけることなく、この改善を実現できた点です。店舗のPOSシステムとクラウド会計を連携させることで、自動的にデータが集約・仕訳される仕組みを構築しました。

主な改善効果として、以下のような成果が得られています。

  • リアルタイム管理の実現
    • 店舗別の売上即時把握
    • 時間帯別の売上分析
    • 商品別の販売動向
  • 経営判断の質的向上
    • 需要予測の精度向上
    • 適切な人員配置
    • 在庫発注の最適化

これらの改善により、売上高が前年比15%増加、さらに在庫回転率も20%改善という具体的な成果が表れました。

特に、天候や曜日による需要変動に、より柔軟に対応できるようになったことが、業績向上の大きな要因となっています。

小売業におけるキャッシュフロー管理の改善

アパレル小売業を営むC社では、季節性の高い商品を扱うため、適切なキャッシュフロー管理が経営課題でした。

仕入れのタイミングと資金繰りの調整が難しく、一時的な資金不足に陥ることも少なくありませんでした。

自計化の導入により、日々の資金繰り状況を正確に把握できるようになり、仕入れのタイミングや在庫管理の最適化に成功しています。

特に、以下のような点で大きな改善が見られました。

  • キャッシュフロー管理の向上
    • 日次での資金繰り把握
    • 季節要因の分析
    • 支払・回収の最適化
  • 在庫投資の効率化
    • 適正在庫の実現
    • 死蔵在庫の削減
    • 仕入れ計画の最適化

これらの改善により、運転資金の借入額を30%削減することができ、金融費用の大幅な削減に成功しています。

さらに、仕入れのタイミングを最適化できるようになったことで、早期割引の活用も可能になり、粗利益率の改善にもつながっています。

税理士が教える!自計化で成功するための注意点

自計化で成功するための注意点

ここまで様々な成功事例をご紹介してきましたが、導入にあたっては注意すべきポイントもあります。

ここからは、私が多くの企業様をサポートしてきた経験から得た、特に重要な注意点についてお伝えします。

注意点1:業務負担が増えないための運用設計

従来、税理士に記帳代行を依頼していたような場合には、自計化によりかえって業務負担が増えてしまうケースがあります。

私のクライアントでも、当初は従業員の残業が増えてしまった例がありました。

特に注意が必要なのは、自計化に移行する初期の期間です。

ある企業では、自計化後の半年くらいまでは、従業員の負担が大幅に増加し、一時的にモチベーションが低下するという事態に直面しました。

しかし、以下のような対策を講じることで、この課題を克服することができました。

段階的な移行計画

業務の優先順位付け

例)移行期は他の総務業務の負担等を減らす。

移行期間の適切な設定

例)決算月ギリギリで移行しない。決算が締まってから余裕のできたタイミングで移行する。

人員配置の最適化

例)経理やシステムに素養がある人を配置する。

業務効率化の工夫

クラウド会計の自動連携機能の積極活用

例)クラウド会計と連携できる手段で経理業務を行う。例えば、預金はインターネットバンキング契約をする。支払は現金ではなく、クラウド会計と連携できるクレジットカードを使用する。

紙の書類の削減

例)電子化できる書類は電子化して、紙の整理の時間を減らす。

経理担当者との密接な情報共有

例)経理担当者が不明な入出金などをわざわざ社長や社員に聞きにいくことがないよう、経理担当者への領収書の提出や支払内容の連絡はタイムリーに行う。

これらの対策により、移行期間中の業務負担を適切にコントロールし、スムーズな導入を実現することができました。

注意点2:税務と経理の分担を明確にする

自計化を進める中で、「どこまでを自社で行い、どこからを税理士に依頼するか」という判断に迷うケースが少なくありません。

例えば、月次決算の仕訳を全て自社で行おうとして、かえって非効率になってしまうケースもあります。

私が推奨するのは、以下のような役割分担です。

  • 自社で行う業務
    • 日常的な取引の仕訳
    • 売掛金・買掛金の管理
    • 日次・週次の収支確認
  • 税理士が支援する業務
    • 決算整理仕訳
    • 税務申告の準備
    • 特殊な取引の判断、仕訳作成

このような明確な役割分担により、それぞれの専門性を活かした効率的な業務運営が可能になります。

特に重要なのは、判断に迷う事項については、早めに税理士に相談する体制を整えることです。

きし

そのための顧問税理士です!

注意点3:無理に自計化を推進しない方が良いケースもある

自計化を無理に推進しないほうがいいケースのイメージ

自計化の導入は、経理管理の質も向上することができ、非常におすすめです。

しかし、全ての場合において、自計化が勧められるかといえばそうではありません。

例えば、まだ設立から日が浅く、社員が社長と従業員数人のような会社の場合です。

このフェーズですと、自計化や管理会計の質に時間を割くよりも、売上獲得のための営業活動などに力を注いだ方が良いケースも多いのです。

ある程度法人も大きくなり、経理や総務担当者が雇用できるようになった段階で、自計化を導入していくのが良いと感じています。

法人設立当初は社長自身が自計化を行うというかたちもあるのですが、多くの場合は、会計ソフトの入力などに時間を割くことが難しく、申告期限ギリギリまで一切入力ができておらず、自社の経営状況を把握できるのは1年に1回、というようなケースも多いです。

そのような状況になるくらいならば、初めから会計事務所に記帳代行を依頼してしまった方が効率的ですし、経営状況も自分でやるよりはタイムリーに把握できるかと思います。

また、経理、総務担当者がいたとしても、その方が簿記やシステムの素養があまりない場合には、自計化は適さないかもしれません。

簿記やシステムの素養がない場合には、会計ソフトに日々入力したとしても、その入力結果がほぼ誤っており、税理士にチェックされた結果、売上や利益の数字が大きく変わってしまうというようなこともあります。

そうすると、経営者は誤った数字により経営判断を行ってしまうことになります。

そのため、自社の経理、総務担当者として配置しようとしている人物が、ある程度簿記やシステムの扱いに素養があるかどうか、事前に確認しておくことが重要だと思います。

まとめ:自計化で経営効率化を実現しよう

自計化の導入は、単なる業務効率化にとどまらず、経営管理の質的向上をもたらす重要な取り組みです。

本記事でご紹介した様々な事例や注意点を参考に、自社に適した導入計画を立てていただければと思います。

特に重要なのは、「なぜ自計化を導入するのか」という目的を明確にすることです。

単なるコスト削減ではなく、経営の質的向上を目指す。その視点があれば、導入過程で直面する様々な課題も、必ず克服できるはずです。経営者が主導して導入を推進していくことも重要です。

デジタル化が進む現代において、自計化への取り組みは、もはや選択肢ではなく必須の経営課題と言えるでしょう。

まずは小さな一歩から始めて、着実に成果を積み上げていくことをお勧めします。皆様の経営改善の一助となれば幸いです。

自計化を導入するべきかどうか、実際に導入する流れは?導入後にもサポートをしてほしい

など、自計化に関するお悩みは、お気軽に当会計事務所へご相談ください。

\ 24時間受付しております!/

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