きしこんにちは。栃木・宇都宮のマロニエ会計事務所です。
製造業の経理に配属が決まった—。
けれど、何から手をつければいいのか分からない。
あるいは、これから製造業の経理部長として着任するが、その特徴を正直まだ掴みきれていない。そんな不安をお持ちではないでしょうか。
実は製造業の経理、特に上場企業や非上場でも大企業クラスになると、他業種では見られない非常に複雑な原価計算体系が構築されているのが一般的です。
そして、この「製造業ならではの勘所」を理解しないまま業務に入ってしまうと、押さえておくべきマインドや、月次・決算の作業スケジュールの意図が分からなくなり、気づけば決算の遅延や経理処理の誤りに繋がっていく、これは決して珍しい話ではありません。
そこで今回は、みなさまがスムーズに製造業の経理に馴染むことができるよう、上場企業レベルの製造業経理の特徴や勘所を、ポイントごとに分かりやすくご紹介していきます。
製造業の決算は「原価計算」を中心に回っている
製造業の月次や決算で最も重要な処理は原価計算です。以降では、多くの企業で採用されている工程別の総合原価計算を前提に解説いたします。
工程別総合原価計算では、会計システム等で各工程に材料費や人件費などの原価を集計し、製造現場が生産管理システムに入力している投入、算出数量データと組み合わせて、製品別の原価計算を行います。
特に上場企業や大企業クラスになると、工程や製品の種類も膨大な数になり、原価計算をエクセルや人力で実行するのはほぼ不可能であるため、原価計算専用のシステムを導入しているケースがほとんどかと思います。
しかし、原価計算専用のシステムを導入していても、その基礎となる各工程に集計する費用や投入、算出数量データが誤っていると、異常な製品単価が算定されてしまうことがあります。
きし製造業の経理に関わることになった方は、まずは自社の原価計算の全体像や仕組みを理解すると、経理の全体像や勘所をスムーズに把握できるようになると思います。
適正な原価計算には製造現場とのコミュニケーションが不可欠
適正な原価計算を行うためには製造現場とのコミュニケーションは必須です。
生産管理システムに入力されているデータが正しいかどうかは経理では分かりません。
そのため、経理部は原価計算の誤りの原因が生産管理システムのデータの誤りにあると判断した場合は、製造現場の職員に問い合わせを行う必要があります。
きし私が以前勤務していた企業でも、月次の原価計算処理が固まるまでは、各工程の製造現場の課長には帰らずに会社に残っていてもらいました。
このように、月次や決算の中で製造現場の方に協力を仰ぐことが多々あるため、経理部員であっても常日頃から製造現場に顔を出したりして、いざというときに円滑なコミュニケーションを取ることができるような体制を構築しておくことが重要です。
製造業の経理職員を採用する際には、もちろん会計税務の知識も重要ではあるのですが、他部署の職員と円滑なコミュニケーションを取ることができるかどうか、という点も重要な判断要素になると思います。
私の新入社員時代の失敗談として、私自身、当時はあまりコミュニケーションが得意な方ではなかったので、普段あまりコミュニケーションをとったことがなかった製造現場の方に決算の際に無理なお願いをしてしまい、かなりキツめのお叱りの言葉を頂戴してしまったことがあります。
今振り返ると、おそらく自分から積極的に普段からコミュニケーションをとっていれば、多少の無理も聞いていただけたのかとは思います。
なお、製造現場の方は強面で一見怖い感じの方も多いですが、皆さん非常に情に厚く親切な方が多いです。
そこを経理部員の方から懐に入っていってコミュニケーションを取っていくことが非常に重要なことだと感じています。
私も工場経理時代の後半は、現場の方から積極的に新しい情報をいただけるような関係性を築くことができ、経理の仕事が非常に進めやすくなりました。
経理部内のチームプレーが決算スピードを左右する
これは、上場企業レベルの企業ですと、製造業に限った話ではありませんが、特に製造業で求められるチームプレーの具体例をご紹介します。上場企業レベルの製造業では、以下のように各勘定科目ごとに経理担当者が割り当てられるのが一般的です。

中でも原価計算の実行は経理部の中でも全体像が把握できる主任クラスであったり、システム的な要素が強いのでシステム実行自体は情報システム部が担当することがあります。
いずれにせよですが、原価計算は各工程に仕入れや外注費などの費用が集計されて初めて実行可能となります。上記の図で言うと、B~Dさんの処理が完了しないと、Eさんの作業が実行できません。
そのため、Eさんに作業を早く、また正確に実行してもらうために、その前工程であるB~Dさんはスケジュール通りに処理を完了する必要がありますし、正確な処理も行う必要があります。
もし、スケジュールに遅延が生じるような場合には、Eさんに適時情報共有を行う必要があります。
また、Eさんの作業である原価計算が完了するまでは、B~Dさんは帰ることはできません。なぜならば、Eさんが原価計算処理を実行した後に、算出された製品単価に異常値が発生した場合にはその原因特定が始まるため、各経費科目を担当するB~Dさんの協力も必要になるためです。
私も製造業経理時代は、Eさんの立場に当たる人の作業が全て完了するまで、他の担当者も全員遅くまで残って、不測の事態に備えて待機していました。
中小企業ではそもそも経理部が1人だけで、仕訳を入力する人も1人だけ、ということもよくありますが、上場企業レベルの規模の場合は、経理作業は複数人のチームプレーで行うもの、という意識を持つ必要があります。特に製造業のように原価計算が求められるような業種の場合はチームプレーの重要性がより増してきます。
製造業の経理担当者を採用、配置する際は、他社とのチームプレーを円滑に行うことができるかどうか、といった観点を考慮する必要があります。
経理の基礎能力を鍛えるなら製造業が最適
上場企業レベルの製造業では、他の業種に比べて多くの経理論点を経験することができます。現在、日本の製造業は製造拠点や営業拠点を海外に設立するのが当たり前になってきており、海外取引に関する経理処理を経験することができます。
また、製造子会社や営業子会社も多く存在するため、連結会計も経験できます。また、製造業の貸借対照表金額の多くを占める固定資産については、減損会計や資産除去債務といった論点があります。
さらに、前述したような高度な原価計算も学ぶことができます。
このように、製造業の経理は多くの経理論点を経験することができ、自社の経理の一巡を把握出来たころには、経理としての基礎能力が大幅に向上しているはずです。
一方で、これは異なる視点で見ると、他の業種よりも覚えるべきことや、考慮すべきことが多いということでもあります。製造業の経理に配属となった方は、一人前になるまでは相当多くの努力が必要になるという心づもりでいるようにしましょう。
まとめ:製造業経理を理解する4つのポイント
本記事のポイントを改めて振り返ると以下の通りです。
- 「原価計算」:まずは自社のモノづくりの流れと、原価計算の仕組みを理解することから始めましょう。
- 「現場との対話」:製造現場との間の良好なコミュニケーションが、数字の精度と業務のスピードを高めます。
- 「チームプレー」:自分の仕事が次工程の担当者の仕事に繋がっているという意識が大切です。
- 「大きな成長」:多様な経験を通じて、市場価値の高い経理人材を目指すことができます。
これらのポイントを意識することで、製造業経理の仕事はよりスムーズに、そして面白くなるはずです。
当事務所は、公認会計士が製造業の経理業務を専門的にサポートしております。 「製造業の経理体制を構築、改善したい」「経理部員のスキルアップ研修を専門家に頼みたい」といったご要望がございましたら、お気軽にお問い合わせください。豊富な実務経験に基づき、貴社に最適なサポートをご提案いたします。
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マロニエ会計事務所では、「製造業の経理」に関するご相談を積極的にお受けしております。貴社の状況に応じ、以下のような支援が可能です。
- 原価計算体制の構築・改善
工程別総合原価計算の仕組みづくりや、異常値の原因究明をスムーズに行える体制づくりをご提案します。 - 月次・決算スケジュールの早期化支援
原価計算を中心とした決算プロセスを見直し、遅延の解消と早期化をサポートします。 - 製造現場と連携した原価計算プロセスの整備
生産管理システムのデータと経理処理を正しく結びつけるための、現場連携の仕組みづくりを支援します。 - 経理部員向けのスキルアップ研修
製造業特有の論点(原価計算・連結会計・減損会計など)を体系的に学べる研修を専門家がご提供します。 - 経理担当者の採用・配置に関するアドバイス
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貴社の規模や経理体制に合わせ、最適なサポート策をご提案します。
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